令和6年1月25日に発表された月例経済報告(令和6年1月)について、解説します。
令和6年1月の月例経済報告について、解説します。
月例経済報告については、こちらで説明しておりますので、よければご参照下さい。
1.令和5年12月分について
主要な項目を、令和5年12月分、令和6年1月について、以下掲載します。
令和5年12月 | 令和6年1月 | |
基調判断 | このところ一部に足踏みもみられるが、緩やかに回復している | このところ一部に足踏みもみられるが、緩やかに回復している |
個人消費 | 持ち直している | 持ち直している |
設備投資 | 持ち直しに足踏みがみられる | 持ち直しに足踏みがみられる |
住宅建設 | 弱含んでいる | 弱含んでいる |
企業収益 | 総じてみれば改善している | 総じてみれば改善している |
企業の業況判断 | 改善している | 改善している |
雇用情勢 | 改善の動きがみられる | 改善の動きがみられる |
消費者物価 | このところ上昇テンポが緩やかになっている | このところ緩やかに上昇している |
先月と異なっているところは、太字にしてあります。
1カ所だけで、消費者物価になります。
「このところ上昇テンポが緩やかになっている」から、「このところ緩やかに上昇している」に変わっています。
表記は少し異なっていますが、実際に意味する内容を判別するのは、困難です。
私の解釈ですが、12月よりも、上昇基調が緩やかになっている、ということを言いたいのではないかと推測しています。
消費者物価が、緩やかになることについては、先月のブログで、説明させていただきました。
推測だけでは、いけませんので、もう少し分析したいと思います。
下記は、消費者物価の説明になります。
令和5年12月 | 令和6年1月 |
消費者物価の基調を「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」でみると、政策等による特殊要因を除くベースで、このところ上昇テンポが緩やかになっている。 10月は、前月比では連鎖基準、固定基準ともに0.1%上昇した。 前年比では連鎖基準で4.2%上昇し、固定基準で4.0%上昇した。 ただし、政策等による特殊要因を除くと、前月比では連鎖基準で0.1%上昇し、前年比では連鎖基準で3.7%上昇した(内閣府試算)。「生鮮食品を除く総合」(いわゆる「コア」)は、このところ上昇テンポが緩やかになっている。 10月は、前月比では連鎖基準、固定基準ともに0.5%上昇した。物価の上昇を予想する世帯の割合を「消費動向調査」(二人以上の世帯)でみると、11月は、1年後の予想物価上昇率別に、2%未満が14.0%(前月10.8%)、2%以上から5%未満が33.0%(前月32.9%)、5%以上が44.6%(前月48.8%)となった。 |
消費者物価の基調を「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」でみると、政策等による特殊要因を除くベースで、このところ緩やかに上昇している。 12月は、前月比では連鎖基準、固定基準ともに0.2%上昇した。 前年比では連鎖基準で3.8%上昇し、固定基準で3.7%上昇した。 ただし、政策等による特殊要因を除くと、前月比では連鎖基準で0.2%上昇し、前年比では連鎖基準で3.2%上昇した(内閣府試算)。「生鮮食品を除く総合」(いわゆる「コア」)は、このところ緩やかに上昇している。12月は、前月比では連鎖基準、固定基準ともに0.2%上昇した。物価の上昇を予想する世帯の割合を「消費動向調査」(二人以上の世帯)でみると、12月は、1年後の予想物価上昇率別に、2%未満が14.3%(前月14.0%)、2%以上から5%未満が35.1%(前月33.0%)、5%以上が41.4%(前月44.6%)となった。 |
「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」ですと、若干の上昇(0.1%→0.2%)になっていますが、「生鮮食品を除く総合」(いわゆる「コア」)だと、減少しています(0.5%→0.2%)。
「消費動向調査」による物価の上昇を予想する世帯の割合を見ますと、5%以上とする割合が減り(44.6%→41.4%)、より低い上昇率の割合が増えています。
以上により、消費者物価は上昇していますが、その上昇の程度は、先月よりも緩やかになっている、ということが分かるかと思います。
2.先行きについて
先行きについては、以下のとおりとなっています。
先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。さらに、令和6年能登半島地震の経済に与える影響に十分留意する必要がある。
最後の太字以外は、先月と同様で、能登半島地震が追記されました。
3.まとめ
先月と比較しますと、同傾向を維持しているものと判断していますが、能登半島地震の影響も懸念されます。
懸念材料がある一方、日経平均は、2月15日に、34年ぶりの高値となりました。
日経平均は、4万円台になるとの予想もあり、明るい材料もあります。
令和6年2月分が発表されましたら、また、解説致します。