駅前の土地が高いとは限りません。地方都市の中心地はどこなのか。
不動産業界に入って、それなりに経験も積み、仕事も任せてもらえるようになり、出張で色々な都市に行くようになってから、疑問に思うことがありました。
それは、地方都市では、駅前の土地よりも、それ以外の場所(お城など)の方が、土地価格が高い場合があることです。
東京に限らず、大都市で生まれ育った方は、私と同じ感覚をお持ちかもしれませんが、通常(あくまで私の感覚です)、駅を中心に都市、街が形成されていますので、駅前の土地がその都市、街の中心部であり、土地価格が高いものと思っておりました。
実際、東京ではほぼ、そのようになっていると思います。
ところが、地方都市では、駅前の土地が必ずしも一番高くはないのです。
いくつか例を挙げながら、説明したいと思います。
なお、価格は、相続税路線価で見ていきます。
各都道府県の令和5年の最高路線価は、こちらから見ることが出来ます。
1.広島駅
広島県の最高路線価は、「中区胡町 相生通り」で令和5年の路線価は、3,390,000円/㎡となっており、前年より3.0%の上昇です。
一方、広島駅前の令和5年の路線価は、1,870,000円/㎡となっています。
随分と差があります。
2.熊本駅
熊本県の最高路線価は、「中央区手取本町 下通りアーケード」で令和5年の路線価は、2,040,000円/㎡となっており、前年より1.0%の下落となっています。
一方、熊本駅前の令和5年の路線価は、580,000円/㎡となっています。
こちらも随分と差があります。
3.鹿児島駅
鹿児島県の最高路線価は、「東千石町 天文館電車通り」で令和5年の路線価は、910,000円/㎡となっており、前年より1.1%の上昇となっています。
一方、鹿児島中央駅前の令和5年の路線価は、890,000円/㎡となっています。
こちらは、辛うじて、「東千石町 天文館電車通り」の方が高くなっています。
恐らく以前は、もっと差があったのでしょうが、鹿児島中央駅前の再開発によって、差が縮まってきたのかもしれません。
ですが、センテラス天文館もオープンしましたので、今後の動向はどうなるのでしょうか。
4.なぜ駅前以外の土地価格が高いのか
これは主に2つ理由があるかと思います。
1つは、鉄道が出来たのは、明治以降ですので、それまでは、街の中心部はお城を中心に形成されていたからです。
広島、熊本、鹿児島と例を挙げましたが、いずれもお城(城跡)がありますね。
もう1つは、車社会ということが挙げられるかと思います。車が交通手段のメインとなる地域では、駅の影響は相対的に弱くなります。
ただ、地域というのは、固定的なものではなくて、常に変動していきます。
先に紹介させていただいた鹿児島中央駅も、恐らく以前は、中心部よりも遥かに安かったと思いますし、今後は逆転するかもしれません。
5.まとめ
以上、例を挙げて、駅前以外の土地価格が高いことについて、みてきました。
例として挙げた広島駅、熊本駅、鹿児島中央駅は、いずれも西日本で偏りがありますが、私が何度か訪問したことがあり、土地感もあるので、採用しました。
今後は、分析地域を増やし、また、地域の変動等も継続的に確認しながら、機会がありましたら、更新していきたいと思っております。