令和5年11月22日に発表された月例経済報告(令和5年11月)について、解説します。

令和5年11月22日に発表された月例経済報告(令和5年11月)について、解説します。

月例経済報告はご存じでしょうか。
毎月、内閣府より発表されています。

不動産鑑定の現場では、不動産鑑定評価書の一般的要因にて、月例経済報告を利用、参考にしている不動産鑑定士の方は、多いかと思います。
勿論、弊社も、鑑定評価書の作成において、月例経済報告を利用しています。

また、不動産鑑定士以外の方であっても、月例経済報告は毎月発表されており、新聞などでも、最新分が発表されると、報道されていますので、ご存じの方は多いかと思っています。

ただ、名前は聞いたことがあっても、細かなところまで把握されている方は多くはないと思われますので、まずは、月例経済報告について、解説し、次に、令和5年11月22日に発表された令和5年11月分について、説明をしていきます。

1.月例経済報告とは

以下、ウィキペディアからの引用になります。

日本政府が毎月景気に関する政府の公式見解を示す報告書。
内閣府が景気動向指数に基づき毎月取りまとめ、経済財政政策担当大臣が関係閣僚会議で原案を提出して、了承を経て公表される。
経済全般が総括的に評価され、個人消費、民間設備投資、住宅建設、公共投資、輸出・輸入、生産、物価、雇用情勢、地域経済、海外経済などの動向、さらには先行きの見通しやリスク要因にも言及される。
基調判断では「弱含んでいる」「改善に足踏みがみられる」「持ち直しの動きがみられる」などの表現が用いられ、前月からの変化がわかるようになっている。

最後の方にありますが、「弱含んでいる」等の表現により、前月と比較してどうなっているのかが、分かるようになっています。

例えば、令和5年11月の月例経済報告の基調判断では、

「景気は、このところ一部に足踏みもみられるが、緩やかに回復している。」

となっています。
「一部に足踏みもみられるが」というところから、景気は少し悪くなっているのではないか、ということが伺えます。

2.令和511月分について

主要な項目を、令和5年10月分、11月分について、以下掲載します。

令和5年10月 令和5年11月
基調判断 緩やかに回復している このところ一部に足踏みもみられるが、緩やかに回復している
個人消費 持ち直している 持ち直している
設備投資 持ち直している 持ち直しに足踏みがみられる
住宅建設 このところ弱含んでいる 弱含んでいる
企業収益 総じてみれば改善している 総じてみれば改善している
企業の業況判断 総じてみれば緩やかに改善している 総じてみれば緩やかに改善している
雇用情勢 改善の動きがみられる 改善の動きがみられる
消費者物価 上昇している 上昇している

先に、基調判断より、景気は少し悪くなっているのではないか、と記載しましたが、10月分と11月分を比較すると、少し悪くなっていることが、確認できます。

基調判断は、「緩やかに回復している」から、「このところ一部に足踏みもみられるが、緩やかに回復している」になり、回復傾向がペースダウンしていることが伺えます。
設備投資では、「持ち直している」から、「持ち直しに足踏みがみられる」となっており、基調判断と同様ですね。
住宅建設は、「このところ弱含んでいる」から、「弱含んでいる」となっています。弱含んでいることが明確にされました。

このように、前月と比較すると、どのように変化したかが、分かり易いですね。
月例経済報告中にも、前月との比較が掲載されています。

なお、先行きについては、以下のとおり記載されています。

先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。
ただし、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。
また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。

3.まとめ

このように、前月との比較、数か月分を分析することによって、景気の動向がより分かり易くなるのではないかと思っています。

近い内に、12月分が発表されますので、その際には、また、解説をさせていただきたいと思っております。

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