立地適正化計画をご存じですか。分かり易く、解説致します。
立地適正化計画をご存じでしょうか。
私自身、言葉自体は知っていたのですが、なかなか関わることがなく、良く知らないまま実務を行っていました。
ですが、少し前に、不動産鑑定の仕事で、立地適正化計画の指定がある地域がありましたので、自分の勉強と、皆様が今後、立地適正化計画に関わることがあった時に、困らないですむように、分かり易く解説したいと思います。
1.立地適正化計画とは
立地適正化計画は、平成26年(2014年)に、都市再生特別措置法の改正により創設された制度です。
「コンパクト・プラス・ネットワーク」がコンセプトです。
言い換えれば、今後の人口減少と高齢化、財政面及び経済面において持続可能な都市経営を実現すると共に、公共交通を利用した、コンパクトなまちづくり、を促進することです。
ここで、お気づきになられた方もいるかもしれませんが、人口減少は、日本全体で予測されていることですが、人口減少が特に問題となるのは、中心市街地以外の地域になります。
つまり、中心市街地市では、立地適正化計画は定められておりません。
この後、触れますが、東京都区部では、定められていません。
このような特性から、普段どの辺りで仕事をしているかで、立地適正化計画への馴染み具合は異なってくるのかと思われます。
国土交通省の発表によると、令和6年3月31日時点で、747都市が立地適正化計画について具体的な取組を行っています。
参考に、日本の都市数は、令和5年12月10日時点で、1,724です。
約1/3の都市が立地適正化計画を定めていることになります。
東京都では、八王子市、三鷹市、調布市、町田市、日野市、福生市、狛江市、武蔵村山市、西東京市、瑞穂町が定めています。
区部は、ありません。
なお、以下、立地適正化計画の説明の根拠資料は、国土交通省の資料によります。
2.立地適正化計画の内容
立地適正化計画は、市町村が策定します。
立地適正化計画区域は、都市計画区域内でなければならず、都市計画区域全体とすることが基本となります。
国土交通省のホームページ
(1)居住誘導区域、都市機能誘導区域
立地適正化区域内に、居住誘導区域を定め、居住誘導区域の中に、都市機能誘導区域を定めることが必要、とされています。
居住誘導区域と都市機能誘導区域を定めますが、都市機能誘導区域は、居住誘導区域の中に定められるということです。
都市機能誘導区域は、医療・福祉・商業等の都市機能を都市の中心拠点や生活拠点に誘導し集約することにより、これらの各種サービスの効率的な提供を図る区域です。
誘導施設とは、都市機能誘導区域ごとに、立地を誘導すべき都市機能増産施設です。
居住誘導区域は、人口減少の中にあっても一定エリアにおいて人口密度を維持することにより、生活サービスやコミュニティが持続的に確保されるよう、居住を誘導すべき区域です。
(2)跡地等管理区域、駐車場配置適正化区域
跡地等管理区域と駐車場配置適正化区域は任意で定めることとされています。
跡地等管理区域は、空き地が増加しつつあるけれども、相当数の住宅が存在する既存集落や住宅団地等において、跡地等の適正な管理を必要とする区域です。
駐車場配置適正化区域は、歩行者の移動上の利便性及び安全性の向上のための駐車場の配置の適正化を図るべき区域です。
3.立地適正化計画による制限
ポイントは、居住誘導区域、都市機能誘導区域以外の区域で、どのような制限があるのかです。
居住誘導区域、都市機能誘導区域は、コンパクトなまちづくりを目指していくのですから、土地利用に当たって、特段問題は生じないものと思われます。
ですが、居住誘導区域、都市機能誘導区域以外の区域で、開発、建築をすることは、コンパクトなまちづくりに反していくことになります。
市街化調整区域では、建築、開発が制限されることをイメージしてもらうと、分かり易いでしょうか。
詳細は、各市町村に確認してもらうしかないのですが、以前訪問しました姫路市を例にとり説明します。
それぞれの区域外での、開発、建築には、届出が必要となります。
届出が必要となるのは、以下の場合です。
居住誘導区域外で、3戸以上の住宅の建築あるいは、それに伴う開発行為は、届出が必要となります。
また、都市機能誘導区域外で、誘導施設を有する建築物の建築、それに伴う開発行為は届出が必要となります。
4.まとめ
以上、立地適正化計画について、解説しました。
普段関わることがないと、なかなか馴染みがなく、実際に立地適正計画が定められていたりすると、焦ってしまいます。
そのようなことがないように、本ブログが、少しでもお役に立てたら嬉しく思います。