土地・建物価格の内訳はどうやって決めるのか、また消費税についても合わせて解説します。

土地・建物価格の内訳はどうやって決めるのか、また消費税についても合わせて解説します。

不動産を購入すると、通常、消費税がかかります。

今まで不動産取引をされた方は、消費税を支払った経験があるかと思います。

ですが、ひょっとすると、不動産は購入したけれども、消費税は、払った記憶はない、という方もいるかもしれません。
それも正しいです。
なぜなら、土地を購入した場合には、消費税はかかりませんので、土地購入時には、消費税の支払いは生じません。

ここで、一旦、簡単に整理させて頂きますと、土地には、消費税はかからず、建物には、消費税がかかるということになります。

なお、最初に、「通常、消費税がかかる」とさせていただきましたが、建物については、消費税はかかるのですが、売主が課税事業者でなければ消費税がかからない場合等があるからです。
課税事業者である不動産業者から購入した場合には、消費税はかかります。

これについては、今回は、簡略化させていただき、消費税はかかるものとして、以下話を進めさせていただきます。

通常、建物のみの取引をすることはありませんので、土地と建物を取引した場合には、建物部分について、消費税がかかる、ということになります。
土地と建物とは、戸建住宅、マンション、事務所ビルなどです。

マンションというと、土地のイメージがあまりないかもしれませんが、土地も持分として持っています。
そうしますと、消費税を計算する為には、土地と建物の内訳価格が必要となりますが、どうやって土地と建物の内訳価格を決めるのでしょうか。
以下、検討していきます。

 

1.土地・建物の内訳価格

具体例としまして、中古の戸建住宅を購入したとします。
建物には、消費税がかかりますので、土地・建物の内訳価格を求めなければいけません。

どうすればいいでしょうか。
これについては、国税庁が以下のとおりとしています。

土地とその土地の上に存する建物を一括して譲渡した場合には、土地の譲渡は非課税ですので、建物部分についてのみ課税されます。
この場合、譲渡代金を以下の方法などにより土地と建物部分に合理的に区分する必要があります。

  1. 譲渡時における土地および建物のそれぞれの時価の比率による按分
  2. 相続税評価額や固定資産税評価額を基にした按分
  3. 土地、建物の原価(取得費、造成費、一般管理費・販売費、支払利子等を含みます。)を基にした按分

現状では、2の固定資産税評価額を基に案分する方法が多く用いられているかと思います。
固定資産税評価額には、土地と建物の評価額が表示されていますので、別途、土地、建物価格を算定する必要もありませんので、案分するのは簡単です。

新築の戸建住宅やマンションでは、3のケースになることが多いと思います。

これについては、販売する不動産業者の方で計算してくれますので、購入者の方で別途計算する必要はないでしょう。

 

2.譲渡時における土地および建物のそれぞれの時価の比率による按分

そうしますと、1.の「譲渡時における土地および建物のそれぞれの時価の比率による按分」は、活用できないのでしょうか。
通常は、2.か3.で済むので、敢えて1.のケースを利用しようとするのは、稀とは言わないまでも、それ程多くはないかと思われます。

ですが、この1.のケースが、今回お話させていただくポイントになります。
そもそも時価は、どうやって求めるのでしょうか。
ここでの時価は、特段例示等されていませんが、不動産鑑定士による鑑定評価額になるのかと思います。

ですが、鑑定評価をお願いすると、鑑定料がかかりますので、お金を掛けてまで、1.の方法を採用するメリットはあるのでしょうか。

実は、あるのです。
正確には、メリットがある場合がある、と云った方が正しいかもしれません。

3.メリットが生じる場合

そもそもですが、2.の固定資産税評価額を基にした案分と、3.の鑑定評価額による案分が同じでしたら、鑑定評価を取っても意味はありません。

ですので、この場合には、メリットは生じません。

メリットが生じるのは、2.と3.で差異が生じる場合です。

「差異が生じる」ということを、ここでは、建物価格の割合の増減と定義します。

少し分かりにくいかもしれませんので、数字で説明しますと、固定資産税評価額による案分だと土地50:建物50だったとします。
これに対し、鑑定評価額だと土地30:建物70(建物価格の割合が大きい)、あるいは、土地70:建物30(建物価格の割合が小さい)になったとします。

すなわち、鑑定評価を取った方が、建物価格の割合が大きくなる、あるいは、割合が小さくなる、ということです。

(1)建物価格の割合が大きい場合

では、建物価格の割合が大きい場合、どのようなことが考えられるでしょうか。
先に消費税の話をしましたが、建物価格が大きくなると、消費税も多くなります。
これはデメリットです。

ですが、建物価格が大きくなると、減価償却額も多くなりますので、節税メリットがあります。
建物価格にもよりますが、消費税は10%ですので、減価償却額によるメリットの方が、通常は、大きいのではないかと思われます。
これについては、実際に計算して、その有用性を検討する必要があります。

(2)建物価格の割合が小さい場合

これは、先の逆になります。
消費税は安くなりますが、減価償却による節税メリットも小さくなります。
初期投資を抑えたい、という場合には、有効かもしれません。

4.まとめ

以上、売買時の土地・建物の内訳価格の求め方、それに伴う消費税について、まとめさせていただきました。

消費税及び減価償却額に大きな影響を与えますので、売買時には、総額だけでなく、その内訳についても早くから検討することが重要です。
また、売買ですので、当然相手方がいます。相手方の協力も必要になってきますので、早目に交渉することが同じく重要になってきます。

最後に、鑑定評価をお願いするとした場合、鑑定料がいくらぐらいかかるのかは、気になるところだと思います。
鑑定料につきましては、こちらでまとめていますので、よければご参照下さい。

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